こんにちは、ヨクトでシステム開発をしている者です。今更ブログ始めます(笑)。記念すべき第一回!エンジニア(技術力)に拘るヨクトとして、まずは、エンジニアの「評価」と「キャリア」について、現場で感じていることを正直に書いてみます。とくに最近は、AIが当たり前になりつつあるなかで「これから何を意識して経験を積めばいいんだろう?」「今の会社AI使わないしキャリア考えると転職案件だわぁ」という話を、他社エンジニアと会話したこともあり。
先に結論めいたことを言うと――「何の言語が書けるか」より、「何を解決できるか」。そしてその軸は時代とともに動いていく。このあたりを順番に書いていきます。
そもそも、エンジニアって何で評価されるんだろう?
キャリアの話に入る前に、まず「評価」の正体から。現場で長く見てきて思うのは、エンジニアの評価は「どれだけコードを書いたか」ではなく「どれだけ問題を解決したか」で決まる、ということです。
もちろんコードが書けるのは前提です。でも、それはスタートラインであって、評価される“その先”は別のところにあります。たとえば――
- その機能は、本当に必要なものだったか(言われたまま作っていないか)
- 現場やユーザーの課題が実際に解決したか
- 後から見て直しやすい/壊れにくい作りになっているか
- チームの誰かが困ったときに頼れる存在か
つまり、「正しく動くものを作る」だけでなく「正しいものを作る」。この“正しいものを選ぶ判断”ができる人ほど、長く高く評価されていく、というのが実感です。
「○○言語が書ける」は、思ったほどキャリアにならない
ここ、誤解されがちなところ。「特定の開発言語を極めること」=「強いキャリア」かというと、正直、効果はそこまで大きくありません。
理由はシンプルで、言語やフレームワークは数年単位で移り変わるから。かつての花形が今は下火、ということはこの業界では日常茶飯事です。特定言語の習熟は、その言語が現役のあいだは武器になりますが、「一生効くキャリア資産」にはなりにくい。言語はあくまで“道具”で、評価されるのは道具の名前ではなく、それで何を作れるかのほうなんですよね。
💡 とはいえ「基礎」は別物
誤解しないでほしいのは、設計・データ構造・アルゴリズム・パラダイム(考え方)といった“技術の幹”は、言語が変わっても効き続けるということ。新しい言語をすぐ習得できる人は、たいていこの幹がしっかりしています。「言語を追う」のではなく「言語を越えて使える土台」に投資するのがコツです。
意識すべきキャリアは、時代で変わる
「どんなキャリアを目指すべきか」の正解は、実は時代によって動きます。ざっくり振り返ると、こんな感じで重心が移ってきました。
| 時代 | 評価されやすかった軸 |
|---|---|
| 少し前 | 特定技術の深い専門性/大規模開発をやり切った経験 |
| いま | 上流(課題定義・要件)/ドメイン知識/チームを動かす力 |
| これから(予想) | AIを使いこなす力+AIに任せられない“判断”と“対人”が、より大事になっていく…かも |
だから「みんなが言うから」で軸を選ぶと、数年後にズレてしまうことがあります。大事なのは、「自分は“どこに対して”キャリアを積んでいるのか」を意識しておくこと。次の章で、その“どこ”を具体的に分解してみます。
じゃあ、どこに対してキャリアを積めばいい?
個人的には、言語のような“移り変わるもの”ではなく、“長く効く軸”に投資するのがおすすめです。具体的にはこの5つ。
- ① 課題発見・要件定義の力……「何を作るべきか」を見極める力。AI時代にいちばん価値が上がる領域です。
- ② ドメイン(業務・業界)の知識……その業界の“当たり前”が分かるエンジニアは強い。技術より長持ちする資産になりがち。
- ③ 人・チームを動かす力……伝える、巻き込む、育てる。一人で出せる成果には限界があります。
- ④ 技術の“幹”……設計・アーキテクチャ・基礎。言語に依存しない土台。
- ⑤ 今いる会社に対して……“自社に評価されること”を意識する。意外とこれが効きます(次でくわしく)。
この5つは、どれも言語のトレンドに左右されにくいのがポイント。逆に言うと、「言語◯◯ができます」だけだと、同じことを言える人がどんどん増えていく――AIも含めて、です。
とくに⑤は、意外と見落とされがち。今いる会社が困っていること、“痒いところ”を、組織に代わってサッと掻いてあげる。地味に見えて、これが社内でいちばん信頼される動き方だったりします。「評価されたいなら、まず会社の困りごとを引き受ける」――シンプルですが、効きます。
そして面白いのが、こうして培った“組織の困りごとを解決する力”は、会社が変わってもそのまま通用するということ。結局は①〜④(課題発見・ドメイン・対人・基礎)の総合力なので、社内向けに磨いたつもりの力が、気づけば他社でも通用する武器になっています。目の前の会社に本気で向き合うことが、回り回って自分のキャリアそのものを強くしてくれる――個人的には、これがいちばんおすすめの“積み方”です。
AIが普及するなかで、エンジニアはどう変わるべき?
そして本題のAI。コードを書く作業の“それなり”の割合を、AIが肩代わりするようになってきました。「エンジニアの仕事が無くなるのでは」という不安もよく聞きます。でも、現場での実感は少し違います。
無くなるというより、価値の重心がはっきり移る、というのが近い。書く作業がラクになるぶん、「何を作るかを決める」「AIの出力を評価して取捨選択する」「責任をもって判断する」といった部分の比重が一気に上がっています。
⚠ AIに“丸投げ”できないところ
AIは「それっぽいコード」をすごい速さで出してきますが、それが本当に正しいか・安全か・要件に合っているかを判断するのは人間です。間違った前提のままAIに任せると、間違ったものが高速で出来上がるだけ。だからこそ、前章の①課題定義・②ドメイン・③対人・④基礎がますます効いてきます。
それと、これは強調しておきたいのですが――AIを開発で使うと、むしろ“これまで以上に”基礎知識が必要になります。「AIが書いてくれるなら、自分は分からなくてもいいや」は完全に逆。AIが出したコードが正しいか、危なくないか、もっと良い書き方はないか――これを見抜くには、結局その分野をきちんと分かっている必要があるからです。AIは“ラクをするための道具”ではなく、“分かっている人がさらに速く・強くなるための道具”。だとすると、エンジニアに求められるスキルレベルは、これからむしろ上がっていくのかもしれません。
まとめると、これからのエンジニアに必要なのは――
- AIを使いこなす(道具として使い倒す。食わず嫌いしない)
- AIにできないことをやる(課題を定義する・意思決定する・人と合意する)
- 学び続ける姿勢(変化が速い前提で、軸足だけは“幹”に置いておく)
もしかすると、「AIに仕事を奪われる人」と「AIを使って価値を何倍にもする人」に分かれていくのかもしれません。その差は、結局のところ“何を解決できるか”に意識を向けてきたかどうかなんじゃないか、と思っています。
意外と見落とされがち、「人間性」というキャリア
ここまで、課題解決だ、上流だ、AIだ……と書いてきましたが。長く現場にいて最後に効いてくるのは、実はすごく“当たり前”のことだったりします。それは――正直であること。嘘をつかないこと。
技術力(開発が速い、難しいことができる)はもちろん武器になります。でも、それと同じくらい――いや、長い目で見ればそれ以上に効いてくるのが、こういう人間性です。
😊 信頼される人がやっている“当たり前”
- できないことを「できない」と言える(見栄を張らない)
- 都合の悪いことほど早く報告する(隠さない・後出ししない)
- 約束(納期・仕様・伝えたこと)を守る
- 分からないことを「分かりません」と言える
- リスク以上に工数を“水増し”しない(楽をするために多めに盛らない・正直な見積もりをする)
- 「論破」を目指さない(自分の意見を正当化するのがゴールじゃない。仕事はディベートではなく、一緒に良いものを作る場)
どれも当たり前すぎて、逆にエンジニア自身が意外と意識できていないポイントだったりします。技術の話は熱心にするのに、ここは無頓着……というのは“あるある”。でも、一緒に働く相手として信頼されるかどうかは、ほぼここで決まります。
そしてもう一つ、すごく大事なこと。キャリアって、PCと会話していても成立しないんですよね。コードは一人でも書けますが、キャリアは違う。社会や人と関わって、はじめて成立するものです。誰かの課題を解決して、誰かに信頼されて、誰かと一緒に作る――その積み重ねが、結局その人のキャリアになっていきます。
むしろAIがコードを書いてくれる時代になればなるほど、「この人と一緒に仕事がしたい」と思ってもらえる力=人間性と人との関わりの価値は、上がっていくのではないか――そんなふうに感じています。
まとめ
長くなりましたが、言いたいことはシンプルです。エンジニアは「言語」ではなく「解決した課題」で評価される。意識すべきキャリアの軸は時代で動くけれど、“言語に依存しない幹”に投資した人ほど、変化に強い。そしてAI時代は、その傾向がさらに加速していくのかもしれません。最後に忘れたくないのは――正直さのような人間性と、人との関わり。キャリアはPCと会話して成立するものではなく、社会や人と関わってこそ育つ、ということです。
ヨクトはもともと、「言われたものをただ作る」のではなく、「次に何をすべきか」を一緒に考えることを大事にしてきた会社です。だからこそ、エンジニアにも“課題を解決する力”を伸ばしてほしいと思っているし、それが伸びる現場でありたいと思っています。キャリアやAI時代の働き方に興味がある方は、気軽に話を聞きにきてもらえたら嬉しいです。
